私の息子は発達障がいを持っており、ちいさい時からあっちへこっちへと振り回されてきました。小学生の頃から、その特徴が顕著に見られるようになりクラスや学校に馴染むことができず不登校となったり、熱中していた野球をするために周囲の反対を押して入学した高校の寮から3週間で逃げ出しそのまま引きこもりになったり、、、ただ、振り回されはしましたが私たちはいつだって息子の意思を尊重し、息子がしたいと望んだことは全力でサポートしてきました。そんな息子が「高校卒業資格だけは欲しい!」とフリースクールへ入り、少しずつ生活が落ち着きはじめ大学を目指すようになりました。大学受験だって全力で応援するよ!と考えていたある日、
「大学を卒業して少し社会経験を積んだら、俺が経営者になるからお母ちゃんの仕事で一緒に独立しよう!母ちゃんらしい現場第一の施設を作ろう!」
と、私に将来の夢を語ってくれました。そしてそれは、息子の夢だけじゃなく、私の夢にもなり、二人の大きな約束となりました。
大学に進学した息子は父親と一緒にはじめた釣りに傾倒しだし、その障がいゆえにどんどんのめり込んでゆきました。そして2018年11月その日もいつものように「釣りに行ってくる」と家をでましたが、そこで水難事故に合い、帰らぬ人となりました。
元気に産んであげていれば起きなかった事故だと今でも自分を責めています。障がいのことがわかってからは、一生息子を守っていくと心に決めていたのに守り抜けなかった。そんな失意の日々の中、私を支えたのは息子との約束。いつだって好きなことだけは精一杯全力で取り組んできた息子。息子との夢を私が守っていかなければ、と私の中で止まっていた時間がゆっくり動きはじめました。
子どもが持つ障がいで困っている家族、孤独を感じている家族、やり場のない気持ちを抱えている家族…その人たちに寄り添うことが、息子との約束の答えであり、私が息子を育てていく中で支えてくれた社会への恩返しでもある。そんな想いでまんまるの樹を設立します。
最初は自費サービスでのスタートになります。
現在の制度では補いきれない、埋めることができない隙間を医療も出来る家政婦という立場で関わっていく支援。いつかそのかたちが制度化され、障がいを持つ当事者やその家族が不安を持つことなく、まんまるな笑顔で過ごしていける社会になるように活動していきたいです。